2020/09/17

Cleveland Golf製品情報

《ツアープロ絶賛のスピン性能と構えやすさ》『クリーブランド RTX ZIPCORE ウエッジ』デビュー!

これまで数多くのプロや上級者に愛用されてきたクリーブランド RTX ウエッジ。その最新モデルとなる『RTX ZIPCORE(ローテックス ジップコア)ウエッジ』がこのたび発売された。国内外のツアープロたちが、一目見て使用を開始したという同モデルには、どんな新技術が搭載されているのか? また、それが生まれるまでの経緯とは? アメリカのエンジニアと連携し、開発を統括した住友ゴム工業㈱スポーツ事業本部商品開発部の芦野武史に聞いた。

 従来モデルと同様、クリーブランド発祥の地であるアメリカで考案された製品コンセプトに、日本のユーザーのニーズなどを加味し、いわば日米共同で開発された『クリーブランドRTX ZIPCOREウエッジ』(以下、RTX ZIPCORE)。プロ・上級者から高く評価された「RTX-4ウエッジ」の後継モデルだ。
「RTX-4は、高いスピン性能のほか、ヘッド形状やソールグラインドを前作から大きく変えたことで、プロ・上級者からの要求に応えることができました。そのため、アメリカ人エンジニアたちとは、“RTX-4のベースは踏襲しつつ、パフォーマンスを上げよう”という話をしました。それがRTX ZIPCOREの開発のスタートでした」(芦野)
 では、性能を高めるために、どんな構造や機能が盛り込まれたのか。具体的に見てみよう。

 新たに搭載された技術のうち、革新的と言えるのが、ネック内部に挿入されたセラミックピンである。過去2代で採用された「フィール・バランシング・テクノロジー」は、ネックを短くしたり、その内部に空洞を設けたりすることで生まれた余剰重量をヘッドに配分し、重心位置をフェースセンターに近づけるという技術だった。
「それに代わる、もっとスケールの大きな技術ができないかと、アメリカでは2年ほど様々な要素開発に取り組みました。もっと重心をトゥ側に寄せられないか? そのための余剰重量をどこで作るか? その手段として、ネックを短くしすぎるとウエッジらしさが失われてしまいます。そうした形状をはじめ、プロ・上級者にとっての使い勝手を損なわずにできることは何かと考え、“比重の軽いものを入れてはどうか”という発想から、セラミックピンというアイデアが出てきました。クラブヘッドにセラミックをインサートするのは、おそらく他に例がないと思います」(芦野)。
 そうして生まれたのが、“スピン(ZIP)の核(CORE)”を意味する新技術「ZIPCORE」。今回採用された、ケイ酸アルミニウムを主成分とするセラミックは、軟鉄にくらべ比重がおよそ4分の1。それをピン状にし、ネックからフェース手前にかけて差し込むことで大きな余剰重量が生まれ、それをトゥ上部に配分した。それにより重心位置はRTX-4にくらべ、1.4ミリセンター方向へ移動。実際の打点に近くなった。
 そして、セラミックピンをインサートする製法開発も“日米合作”だ。
「セラミックピンをヒール近くまで挿入するために、あらかじめピンを金型にセットした上で鋳造するという製法を開発しました。どこから鉄を流し込むかも非常に重要なポイントで、日本からもスタッフを派遣して、プロトタイプも本当にたくさん作りました。評価も日米で一緒にやりましたし、この製法開発には1年近くかけました」
 試行錯誤の末に生まれた新構造により、バックスピン、打ち出し角、初速をハイレベルで安定させることに成功した。

 プロをはじめアスリートゴルファーがウエッジを選ぶ際に最も重視するスピン性能。それを左右するフェース面の溝についても、RTX ZIPCOREは新たな技術を採用した。まず、歴代のRTXシリーズの中で、溝を最も深く設計したのだ。
「ウエッジなので、フルショットだけでなく、当然ピッチショットでもスピンがしっかりと入る設計を目指しました。それに加え、ラフからのショットでは、フェースとボールの間に芝や水が入ってくるため、それらの“逃げ道”を増やすために、溝を深くすることをベースに考えました。」(芦野)
 ただ、溝には幅や深さ、それに容積に関する規制がある。そこで、RTX ZIPCOREの開発に当たっては、溝の幅を狭め、かつエッジのアールを鋭くすることで、規制内ギリギリの設計を目指した。さらに、溝同士の間隔もわずかに狭くした。
「そうすることで、ロフトによって違いはあるものの、溝の本数を1本から2本増やすことができました。ボールに触れる溝の数が増えれば、フェースはそれだけボールにしっかり食いつきます」
 こうした様々な工夫により、RTX ZIPCOREでは、ドライ時、ウェット時ともに歴代モデルの中で最高のスピン性能を実現することに成功した。
「そんなもの難しくないだろうと思われるかもしれませんが(笑)、溝が深くなると加工が非常に難しくなって、製品にバラつきが生じます。それを極力なくし、溝規制内に収めるために加工精度を高める工程面での改善も盛込みました。そうした工夫に加え、あらゆる条件下での使用を想定したうえで設計したのが、RTX ZIPCOREの溝なのです」

 RTX-4 は、前作から大きな変更を加えたソールグラインドがツアープロらから高い評価を得た。そのためRTX ZIPCOREでは、それをほぼ踏襲しつつ改良を加え、「FULL」「MID」「LOW」という3つのグラインドを設定した(ロフト56°、58°、60°)。
「まずFULLは、比較的バンスを使って打ちたい方を想定して、バンス効果をしっかりと使えるよう、バンス角を従来の10°から12°に増やしました。次に、もっとも人気のあるMIDは、バンス角を1°増やして10°にしました。また、中央のグラインドの幅をわずかに広げてバンスの効果が出やすい形にしつつ、フェースを開いた時にもソールがしっかりと接地するよう設計しました。許容性と操作性のバランスを取ったのがMIDといえます。そして、LOWについては前モデルとほぼ同じ形状を採用しています」(芦野)
 このグラインドの効果もあり、すでに国内外の多くの契約プロがRTX ZIPCOREにスイッチしている。海外では、キーガン・ブラドリー、シェーン・ローリー、アーニー・エルスといったメジャーチャンピオンたちがすでに愛用中。国内でも、秋吉翔太、出水田大二郎、稲森佑貴、新垣比菜、淺井咲希らが早くも実戦に投入している。
「多くの選手から“ヘッドの座りがすごくいい”“フェースの開閉がしやすい”という評価をいただいています。ほかにも“形状・打感がいい”“芯を外した時の安定感がすごい”“スピンがこれまで以上にかかる”といった声が届いています」

 芦野によれば、これほど最初からプロたちの評価が高く、また、これほど多くの選手が一気にスイッチするケースは、おそらくこのRTX ZIPCOREが初めてだという。それほど多くの選手に、しかも早く受け入れられた要因について、芦野はこう話す。
「アメリカの開発スタッフと話したのは、『誰に使ってもらうウエッジなのか?』ということを明確にすることでした。これが、開発で最初にやるべき大事なことで、それがブレて、もっと幅広い層の方に使ってもらおうとすると、本来のターゲットであるプロをはじめアスリートゴルファーが使いにくいものになってしまいます。その点、RTX ZIPCOREでは、彼らにある程度フォーカスし、変えてはいけない部分は大事にしながらも、見えない部分でどれだけ性能を上げられるかということにフォーカスして設計したことが、ツアープロの使用という結果になって表れたのだと思います」。

 こうしてツアープロから絶賛されているRTX ZIPCORE。「とはいえ、プロにしか使えない難しいモデルではありません」と芦野はいう。すでに述べたように、重心位置をよりゴルファーの打点位置に近づけ、ソールグラインドに改良を加えるなど、前モデルにくらべても“やさしく”なっているためだ。では、どんなアマチュアゴルファーに向いているのだろうか。
「やはりアスリート志向のゴルファーです。自分のプレースタイルがしっかりとあって、グリーン周りでスピンをかけて止めたい方、そして、フェースを開閉させていろいろなショットが打てる方には、ぜひ使っていただきたいと思います」(芦野)

◆『クリーブランド RTX ZIPCOREウエッジ』の詳細はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/clevelandgolf/rtx_zipcore/