2023/09/19

D-Cafeレポート

《祝・ツアー初優勝!! 菅沼 菜々プロ 独占インタビュー》勝つことができてホッとしたけれど、あくまで通過点。今シーズン中にあと2勝したい

D-cafe:まずは「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」でのツアー初優勝おめでとうございました!
菅沼 菜々プロ(以下、菅沼):ありがとうございます!

D-cafe:あの試合の直前に足をケガされたとか……。
菅沼:そうなんです(苦笑)。同じ週の水曜日の明け方に起きてトイレに行こうとしたら、小上がりになっているところの角に左足の小指をガーンとぶつけてしまって。それでも半分寝ぼけていたのですが、冷蔵庫に入っていたペットボトルで小指を冷やしました。10分ぐらい冷やして、「もういいかな」と思って寝たのですが、朝起きたら痛くてシューズが履けませんでした。それでも何とか履いて練習場には行ったのですが、痛くて打てなくて。「これはムリだ」と思って、ようやく父に話しました。じっとしていれば痛くなかったので、パット練習だけして、その夜の前夜祭も何とか出席しましたが、翌日のプロアマトーナメントは足が痛くてお休みしました。

D-cafe:それで翌日の初日は、スイングに影響はなかったのですか?
菅沼:それが意外と大丈夫だったんです。初日の朝もシューズを履く時には少し痛かったのですが、普通に歩けたし、球を打ってみたら大丈夫だったので、「とりあえずプレーしてみよう」と思ってスタートしました。そうしたら、前半のハーフを終わった時点で、5アンダーでトップだったので、「えっ? 痛いほうがいいんじゃない?」と(笑)。

D-cafe:それで初日は3位タイという好スタートを切って、2日目には9バーディを奪って単独トップに立ちました。最終日のスタート前には緊張はしなかったのでしょうか?
菅沼:いえ、緊張はしました。2位と3打差と言っても、やっぱり後続に強い選手がいっぱいいましたから。ただ、朝は緊張していましたけど、スタートしたらもう大丈夫でした。

D-cafe:最終日もノーボギーのナイスプレーでトップを守り続けて、追い上げてきた同じ最終組の選手とは1打差で最終18番ホールを迎えました。ただ、グリーンを狙った第2打はグリーン右のラフに外れてしまいましたね。
菅沼:あの瞬間は「うわー、やっちゃった~」と思いました(苦笑)。あの第2打はラフからだったので、フェースが返って左の池に入るのだけは避けたかったので、センターよりちょっとだけ右を狙ったんです。でも、本能的にピンを狙ったんでしょうね(笑)。あんなに右に行くとは思いませんでした。

D-cafe:第3打のアプローチショットはかなり難しかったと思いますが、見事50cmに寄せました。
菅沼:「あれはすごかったね」とたくさんの方から言っていただきました(笑)。ラフから、しかも下りだったし、エッジからカップまでは4ヤードぐらいしかなかったので、高く上げて、球の勢いを殺さなきゃと思って、ウエッジでフワっとさせるように打ちました。カラーだと行き過ぎてしまうのでラフに落としたのですが、イメージ通りでした。『クリーブランド RTX 6 ZIPCORE』の56度で打ったのですが、所属先の関係者の方々に、私が「ウエッジがよくて」と話したら、みなさん、「買います」とおっしゃっていました(笑)。

D-cafe:(笑)。それで、パーパットを沈めて、バーディパットを決めた相手選手とのプレーオフに進みました。勝負を決めたのは2ホール目でしたね。
菅沼:はい、あのホールでやっとティショットがフェアウェイに行きました(苦笑)。最終日はティショットの調子が本当に悪くて、フェードさせたいのにドローしてしまっていたんです。特に終盤は曲がりが大きくなってしまったので、こわごわ振っていました。プレーオフ1ホール目もチーピン気味のショットになって左ラフに行ってしまって……。たぶん緊張で身体が動いていなかったからだと思うのですが、2ホール目はやっといいフェードが打てて、ピッチングウエッジで抑え気味に打った第2打も完璧でした。

D-cafe:ウイニングパットになった1.5mのバーディパットは、どんなラインだったのですか?
菅沼:わずかに下りで、少しだけスライスするラインでした。狙いは左カップいっぱいで、カップを外したら抜けちゃうかなというライン。私があとからテレビで観たら、普通にパットしている感じだったのですが、実は手がめっちゃ震えていたんですよ(笑)。自分でもわかるぐらい、緊張していました。それまでも、「これを決めないと予選を通過できない」というパットで手が震えたことはありましたが、それとは比べものにならないくらい震えました。

D-cafe:プロ6年目でのツアー初優勝についてはどう感じていますか?
菅沼:うーん……、早くもなければ遅くもない、という感じですね(笑)。私の存在を世の中の方々に知ってもらえるようになって、今年から「JLPGA Brightener(ブライトナー)」(※1)に選んでいただいたのですが、ブライトナーの中で私だけ優勝したことがなかったんです。去年初めて出場した「Hitachi 3Tours Championship」でも、私だけ優勝経験がなかったので、「私がここにいていいのかな……」と思うことがありました。私以外は何勝もしている選手ばかりだったし、ブライトナーもそうです。だから、優勝できてよかったですし、勝ててホッとしました。もちろん、何勝もしている人にはまだ追いついていませんが、〝1〟と〝ゼロ〟とでは全然違いますからね。

(※1)JLPGA が定める独自の基準や方法により選出(2023年度は9名)。JLPGA ツアーの代表としての役割を担い、女子プロゴルフの未来をもっと鮮やかに、もっと美しく輝かせるための活動を行っている。

D-cafe:今年と去年のスタッツをくらべると、ドライビングディスタンスは去年の238.61ヤードから今年は245.73ヤード(注:9月10日時点)と、7ヤードも伸びていますね。
菅沼:そうなんですか!? スゴい(笑)!

D-cafe:(笑)。飛距離が伸びたのは、何かを変えたからでしょうか?
菅沼:いえ、何も変えていないですし、強く振っているわけでもなくて、普通に振っています。ドライバーも去年と同じ『ゼクシオ エックス』です。オフのトレーニングも前の年と同じようなことをしただけなんですけどね。2~3ヤードだったら誤差の範囲内かもしれませんが、7~8ヤードの違いはすごいですね。しかも、平均飛距離ですから。

D-cafe:「ゼクシオ エックス」ドライバーは、去年からずっと愛用していると思いますが、やはりご自分にフィットしていると感じますか?
菅沼:はい、すごく合っていると思います。飛びますし、ヘッドの座りがいいので、〝直ドラ〟もすごくしやすんです。パー5の第2打でけっこう使っていて、アゲンストの時とか、低いライナーで飛ばせるのですごく役立っています。

D-cafe:フェアウェイウッドやハイブリッドも「ゼクシオ エックス」ですよね。それぞれどんなところが気に入っていますか?
菅沼:フェアウェイウッドは、ドライバーと一緒でヘッドの座りがいいところですね。それと、ヘッドが大きく見えるので構えた時に安心感があります。#4はティショットで刻みたい場面やパー5の第2打で使っていますが、曲がりにくいので安心して振れます。ハイブリッドは、今は#5の1本だけバッグに入れているのですが、192ヤード飛んで、高さも出るのでグリーンで止まりやすいですね。

D-cafe:昨年は、3パット率(※2)がツアー最小で、今年も開幕当初は1位を狙っていたそうですが……。
菅沼:今年はけっこう3パットしてますね(苦笑)。でも、3パットが増えたのは、意識してファーストパットを強く打つようにしているからです。私は元々ジャストタッチ派だったのですが、ジャストタッチだと、勝負どころで入らないんですよね。去年、自分のパットをテレビで観た時に、「ここは入れなきゃ」という場面で、弱くて切れてしまうことが結構あって……。美夢有ちゃん(山下プロ)もそうですけど、パットの上手い選手は〝壁ドン〟みたい感じですごく強く打ちますよね? だから、私も今はラインを消して強めに打っています。その結果、3パットが増えているのだと思いますが、強く打つのでパットが入るし、バーディは去年と同じくらい獲れています。3パット率で1位になるより、バーディパットがたくさん入るほうがいいので(笑)、3パットは気にせずに、これからも強めに行こうと思っています。

D-cafe:初優勝してから、何か自分の中で変わった、あるいは変わりそうな予感はありますか?
菅沼:それはまだわからないのですが、「変わったことが優勝につながったかも」と思うことはあります。それは、イライラしなくなったことです。今年の春先はずっと調子が悪くて結果も出なかったので、普段からすごくイライラしていました。私自身、アイドルが好きで、インスタの写真も、いかにもプロゴルファーという感じではなくて、アイドルの真似をして撮ったりするのですが、ある時、「そうやってアイドルの真似をしているのに、怒っているのはおかしいんじゃない?」と思ったんです。怒ったところでミスは消えないし、怒って次のホールまで引きずってボギーにしたら、もっとイライラします。だから、イライラするのやめようと決めました。それでも簡単にはやめられなかったのですが、「私はアイドル」とずっと思いながらプレーしたら、7月中旬頃から、だいぶ怒ることが減って、優勝した試合では、イライラすることがなかったです。だから、それはこれからも続けようと思っています。

D-cafe:では、最後に今シーズンのこれからの目標をお願いします。
菅沼:はい。実は、今年は3勝したいと思って開幕を迎えました。でも、なかなか勝てなかったので、「3勝はムリかも」とあきらめかけていたら、夏に1勝することができました。それはもちろんうれしかったですし、たくさんの方から「おめでとう」と祝福してもらったのもうれしかったのですが、この優勝はあくまで通過点と考えて、今シーズン中にあと2勝したいです。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」でも優勝を狙いたいし、「日本女子オープン」などの公式戦で頑張りたい気持ちもあります。とにかくまだ試合はたくさん残っているので、優勝めざして頑張ります。みなさん、応援よろしくお願いします!

(※2)(3パット以上の総ホール数)÷(総ホール数)× 100

■ NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 優勝レポート
https://sports.dunlop.co.jp/golf/updates/detail/20230817113122.html

■ 菅沼 菜々プロのプロフィールはこちら
https://sports.dunlop.co.jp/golf/players/detail/nana-suganuma.html