2023/12/05

XXIO製品情報

《ゼクシオ 13/エックス/13 レディス 誕生への軌跡VOL.1》 革新のフェースと新〝飛びの翼〟。2つの進化で高く、大きく飛ばすドライバー

【VOL.2】飛ばしのキーワードは〝より速く、より高く〟 ~フェアウェイウッド・ハイブリッド・アイアン~

【VOL.3】レディス=たんなるメンズの軽量モデルじゃない。女性専用設計で、大きく爽快に飛ばす

林 和広(はやし・かずひろ、左端) 商品開発部 クラブ技術グループ
2011年入社。以来、ゼクシオ、スリクソン、クリーブランドのゴルフクラブの開発を担当。中国のクラブヘッド工場駐在を挟み2022年より現職。13代目ゼクシオではヘッド開発を担当。


佐藤 弘樹(さとう・ひろき、左から2人目) ゴルフビジネス部 ゴルフクラブビジネスグループ
2008年入社。海外物流やゴルフグローブなどの販売企画などを経て、2018年よりゼクシオのゴルフクラブの商品企画を担当。自身が手がけたゼクシオのモデルとしては今回が3作目となる。


後藤 夏穂(ごとう・なつほ、右から2人目) 商品開発部 デザイン企画グループ
2022年入社。前職のスポーツメーカーでは研究、開発などを担当。現在は、ゼクシオのクラブ、ボール全般のデザインを手がける。


小野 貴士(おの・たかし、右端) 商品開発部 クラブ技術グループ
2018年入社。市島工場でボールの生産技術を担当したのち、2022年1月よりゴルフクラブの開発を手がける。13代目ゼクシオではヘッド開発を担当。

 2年ぶりにリニューアルされたゼクシオのゴルフクラブ。その中でも、ゴルファーが最も注目するドライバー、『ゼクシオ 13』と『ゼクシオ エックス』の開発はどんなことからスタートしたのか。
「〝飛び・打ちやすさ・爽快感〟という三大機能が、ゼクシオが20年以上追い求めて実現してきたアイデンティティです。今作でも、それを継続するのを基本にして、ゴルファーのみなさんにさらなる進化やワクワクを感じてもらえるよう、開発チームには新たな技術を盛り込んでほしいとリクエストしました」
 そう語るのは、商品企画を担当した佐藤 弘樹。また、開発を担当した林 和広は当時を振り返って言う。
「企画チームの話を受けて、何ができるのか検討しました。その結果、やはりアマチュアゴルファーは打点が安定しないため、フェースセンターを外してしまった場合でも初速性能が発揮されるように、もっと芯そのものを広げられないか、さらに、ミスそのものを減らして芯に集めることができないか、この2点を追求しようという考えに至りました」
 アベレージゴルファーの打点のバラつきに対応するための開発を続けてきた歴代のゼクシオ。前作では、スリクソンで採用していたREBOUND FRAME(リバウンドフレーム)構造を、カップフェースにして搭載するという独自の構造を取り入れることで高初速エリアを広げた。開発チームでは、今回、そのエリアをさらに広げるための方法を模索。そうして誕生した技術が〝BiFLEX FACE〟(バイフレックス フェース、以下、BFF)である。
「フェースのセンターだけでなく、トウ寄りやヒール寄りでヒットした際のヘッドの変形挙動もしっかり分析して、オフセンターでの初速性能を最大化させようと考えました。トウやヒールの剛性をどうするかを検討し、ヘッドやフェースの形状からそれぞれが最適な剛性になるよう設計したのがBFFです」(林)
 フェース外周上部の剛性を位置によって変え、トウサイドはボディのたわみで、ヒールサイドはフェースのたわみによって高初速を生み出すBFFは、まさに〝芯を広げる〟新たなテクノロジーと言える。
「ゼクシオ本来の飛びや打ちやすさを体感してもらうには、フェースセンターでヒットした時の最大飛距離も大事なのですが、どこで打ってもしっかり飛んでいくという設計にすることが重要でした。そこから、トウ寄りやヒール寄りなど、打点に応じて細分化することが技術的なテーマになったのですが、それは、よりユーザー視点に立った新しいアプローチだったと思います」(佐藤)
 トウとヒールそれぞれの打点でデジタルシミュレーションを行い、最適な剛性に設計した結果、高初速エリアは、従来モデル比で「13」が約1.3倍、「エックス」が約1.4倍に拡大させることに成功した。
 前作とのショットの違いについて、同じく開発を担当した小野 貴士は、実打テスト時のテスターのコメントを例に挙げてこう説明する。
「ショット直後のボールの飛び姿を見て、〝いつもよりボールが先に行っている〟という声が聞かれました。初速が上がって、飛距離も伸びているのを感じてくれたのだと思います」

 とはいえ、フェース外周上部の最適な剛性を決めるのは容易ではなかった。BiFLEX FACEは、ドライバーだけでなく新しいフェアウェイウッドやハイブリッドにも搭載されているが、それぞれヘッドはサイズも用途も異なるため、フェース外周上部の最適な丸みも変わってくるからだ。
 それについて、小野は次のように話す。
「その丸みをどう設計するかに一番時間をかけました。丸みを決めて試作品を作ったあとの検証も、打点のバラつきという、ゼクシオにとって永遠の課題を解決するのが目的だったので、これまで以上に実打テストを重ねました。〝顔〟の見え方についても、実際にテスターに構えてもらい、〝開いて見える〟〝このフェースはかぶっている〟といったコメントを基に何度も改良を繰り返しました」
 ゴルフクラブ、とりわけドライバーでは、顔がどう見えるかは構えやすさに直結する。それに、ヘッド形状そのものは技術の領域であるものの、カラーリングやマスキング(フェースとクラウンの境目)はデザインにも関係するため、各チーム間で足並みを揃える必要があった。
 それについて、デザインを担当した後藤 夏穂はこう話す。
「機能的な特徴をデザイン上で表現することも大事なのですが、ゼクシオらしく洗練された高級感を演出しつつ、機能的に構えやすい見た目でなければなりません。今回はBFFという新しい技術をデザインによってより強調するというアイデアも出たのですが、〝やはりアライメントマークはシンプルな方が構えやすく、集中しやすい〟という声が多く聞かれました。そこで、従来モデルとは違い、アライメントマークだけのデザインに一新しました。一方で、クラウンのヒール寄りに設けたNew『ActivWing(アクティブウイング)』(後述)は、アクセントになるものの〝構えた時に気にならない〟という声を基に、アクセントとしてデザインに取り入れました。その結果、機能的な特徴がありながらも構えやすくて洗練されたデザインに仕上げることができたと思います」
 マスキングの位置についても、最後まで試行錯誤を重ねた結果、ゼクシオらしい、つかまりのよさを感じさせる顔が完成した。

〝伝統と改新〟がデザインコンセプトの「ゼクシオ 13」
丸みをもたせたヘッド形状がつかまりのよさを想起させる「ゼクシオ 13」。ネイビー、ゴールド、シルバーを使用しつつ、ゼクシオ伝統のネイビー色には昨今のトレンドを意識し、ブラックに近いダークネイビーを採用した。

ゼクシオ 13は上記のネイビーのほか、今回も女性にもファンの多い「レッド」もラインアップ。色合いは前作の淡い赤から、やはり黒に近いダークレッドに変わった。

スタイリッシュでスポーティなイメージの「ゼクシオ エックス」
ややディープで精悍な顔立ちのNEWゼクシオ エックス。デザインコンセプトは〝スタイリッシュ〟で、「今回は差し色にスカイブルーを採用し、若々しさを意識して、スポーティで爽やかな印象に仕上げました」(後藤)

 前作で新たに開発、搭載した、クラウンのヒール寄りに設けられた凸部「ActivWing」。
 トップからダウンスイング前半にかけて、ヘッドには、ソール方向に働く「遠心力」の影響により、トウダウンなどのブレが生じる。その遠心力を、トウ方向に働く「抗力」とクラウン方向に働く「揚力」を大きくすることでコントロールし、ヘッドの安定化、ひいてはインパクトでボールを芯で捉えやすくする――。
 それが、ActivWingのもたらす効果だった。そんな打点を〝芯〟に集める技術が、新しいゼクシオではNew「ActivWing」(以下、NAW)として進化。断面が台形だった前作から、三角柱を2列に並べたような形状に変わった。
「目的はBFFと同じで、メインユーザーであるアベレージゴルファーの打点のバラつきに対応するためです。2段のジグザグ形状にして表面積を増やすことで、ダウンスイング前半の空力性能の向上を狙いました」(小野)
 形状を決める過程では、もっと段数の多い形状や異なるサイズにする案も出たという。その際には、打球音も重要な検討事項になった。
「打球音はかなり苦心しました。突起が打球音に与える影響が大きいからです。ゼクシオの特長である、高くて伸びがあることに加えて、爽快さを損なわないことが開発チームには常に求められています。特に爽快な打球音というのは数値化できない部分です。そのためNAWのサイズや位置について、非常に時間をかけて空力性能と打球音のベストポジションを探した結果、選んだのが今回の形状です」(小野)
「もちろん打球音も大事なのですが、その突起も当然ヘッド体積に含まれます。ゼクシオの場合、そもそも460CCというルール上限の体積でベストなパフォーマンスを発揮できるように設計しているので、NAWを重視するあまり、基本性能が疎かにならないようにする必要がありました」(林)
 広くなった表面積で空気を受け止め、抗力、揚力ともに大きくすることで、ダウンスイング前半でのヘッドの空力性能はさらに向上。それがインパクトでのブレを抑えることにつながり、13、エックスともに打点のバラつきを前作にくらべ11パーセント低減することに成功した。

前作に搭載されたActivWing(左)と、形状を変え、表面積が拡大した「ゼクシオ 13」搭載のNew「ActivWing」(右)。ダウンスイング前半でのヘッドの空力性能が向上し、より芯で捉えやすくなり、ボール初速がアップする。

 BiFLEX FACEとNew ActivWingという2つの新技術をヘッドに搭載した新しいゼクシオだが、13とエックスに装着される純正シャフト2種にも、たしかな進化が見られる。
 まず、今作の13とエックスは、ドライバーのシャフト長がいずれも前作と比較して0.25インチ短く設計されている。ただし、クラブ長が短くなればヘッドスピードが落ち、飛距離も落ちると考えるのが一般的。そのための対策について、佐藤は言う。
「短くすると振り心地も変わるのですが、ゼクシオのシャフトならではの、振り抜きやすく、走るようなフィーリングは踏襲したいと考えました。そこで、13装着の『ゼクシオ MP1300カーボン』では、最先端航空機にも採用される『TORAYCA®』T1100Gに加え、強度をさらに高めた新『NANOALLOY®』樹脂を採用したことで、さらなる軽量化を実現しました。さらに先端は捻じれ剛性をしっかり保つことで、全体としてはしなやかに走るけれど、インパクトではグッと押し込める振り心地にしています。一方で、エックス装着の『Miyazaki AX-3カーボン』は、同じく『TORAYCA®』T1100Gに加えて高弾性素材を増強し、しっかり感がありながら素直でクセのない振り抜きとコントロール性のよさを体感いただけるシャフトに仕上がっています」
 こうしてヘッド、シャフトともに新たな技術を搭載し、完成した「ゼクシオ 13」と「ゼクシオ エックス」のドライバー。開発チームの2人に、購入を検討しているゴルファーへのメッセージをお願いした。
「今回、13は〝トラディショナル(伝統)とイノベーティブ(改新)〟、エックスが〝スタイリッシュ〟というのが、それぞれデザインテーマになっています。手に取って、まずその点を目で楽しんでいただけたらと思いますし、その後は一度でもぜひ打っていただきたいというのが私の願いです。今では、試打をすると様々な数値データが取れますが、性能に関しても私たちが自信をもってアピールできるクラブに仕上げています」(林)
「私も、店頭で見るだけでなく、実際に打ってみてほしいと思います。試打していただければ、たとえばBiFLEX FACEが球を弾く感触がわかるはずですし、ほかにも〝やっぱりゼクシオはいい〟と思えるような技術を搭載しているので、ぜひそれを確かめていただきたいですね」(小野)

『ゼクシオ 13 ドライバー』の製品情報はこちらをご覧ください。

『ゼクシオ エックス ドライバー』の製品情報はこちらをご覧ください。