「地域が一緒に盛り上げる」ダンロップ・スリクソン福島オープンの意義を地域の立場から考えると?
十文字)基本的には後援という形で関わっています。優勝者の副賞として贈呈している白河だるま(白河市の伝統工芸品)を提供したり、市のバスをシャトルバスとして提供したり。陰ながらというか、後方支援のような形で協力させていただいています。
十文字)この大会には福島県県南地域の9市町村が中心となって関わっています。県南地域には、新白河駅を中心にゴルフ場が数多くあり、この地域に来ていただく観光資源の1つとして元々ゴルフを考えていました。このダンロップ・スリクソン福島オープンでは、会場内に観光誘致のためのブースを出させていただいて、観光パンフレットを配るという形で大会の盛り上げに協力させていただいています。(2021年はブース出店は中止)
十文字)私もゴルフをするのですが、リーズナブルで気軽にプレーできるところも人気があるんです。白河の地域では、大会の会場にもなるグランディ那須白河ゴルフクラブが代表的なコースとなっており、春は桜が咲いて秋は紅葉がきれいな、自然豊かなゴルフ場がたくさんあります。
十文字)もうただただ感謝だけです。今年は東日本大震災から10年目という区切りの年ですが、震災の記憶が風化してしまわないかという点が心配事になっています。復興もまだまだ途上の段階なので、こうした大会を福島でやっていただけて、プロの方からも震災復興へのメッセージを発信していただけることは本当に大きな意味を持つと感じています。
十文字)地元の関係者からは非常に喜ばれていますね。看板もそうなのですが、そもそもこうしたスポーツの大きい大会自体が私たちの地域では少ないので、そうした意味で数少ない大きなイベントに協力しよう!という雰囲気もありますし、みなさん毎年待ち望んでいます。
この地域でやるものは、この地域のみんなで支えよう・盛り上げよう、という雰囲気は随所に感じられますね。
十文字)福島交通さんですね。大会期間中にギャラリーを主要駅から会場まで運ぶシャトルバスの運行、管理などを本当に一生懸命にやってくれています。通常、シャトルバスって並んで待たされたりとかする場面が多いですよね?早く会場に行きたいとか、バスは何分にくるんだとか、クレームが出てもおかしくないと思うんです。でもその点、福島交通さんがお客様への声掛けや誘導など、素晴らしいケアをしてくれて、この大会でそうした苦情はまったくないんです。ちょっとした一言なんですけど、そうすることによってお客様は安心してバスを待っていられるし、本当にプロのおもてなしの仕事だなぁと思っています。
十文字)そうですね。なかなか会場にはこれない裏方の立場の方々ですけど、大会の成功にはなくてはならない存在です。こうした姿勢でみなさん協力してくださるので、すごく助かるなぁと思いますね。
十文字)スナッグゴルフ全国大会や全日本小学生ゴルフトーナメントがそれにあたると思っています。ダンロップさんからもジュニア育成のお話がありましたが、スナッグゴルフやゴルフのジュニア大会を通して小学生の頃からゴルフに興味や関心を持つ子ども達が増えてきている印象があります。
スナッグゴルフ全国大会は、県南地域のゴルフ場が舞台となって開催されています。
十文字)スナッグゴルフの普及活動自体は日本ゴルフツアー機構(JGTO)が中心となっています。私たちとしては全国から集まる子どもたちに東日本大震災のことを学んでいただくため講師を派遣するなどして教育の部分で関わらせてもらっています。またゴルフでは日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が中心となって全日本小学生ゴルフトーナメントを開催しています。
十文字)そうですね。将来のプロ選手になるたまごたちが、「あ、福島っていつか大会で行ったことある」とか、「こういう話聞いたことある」とか、なにかしら福島とつながりを持っていただければ嬉しいなと思っています。松山選手がメッセージを出してくれているように、将来的に福島のことを気にかけてくれる選手が増えてくれればいいのかなと思い、活動に取り組んでいます。
十文字)2018年に制作したフリーマガジンでは白河市側からダンロップさんと一緒に何かやりたいという思いがきっかけとなりました。そうしたことを考えるくらい、この大会を開催してくださり、続けてくださることへの恩返しができたらという思いがあります。市としての広報活動の中で、1つの企業だけを取り上げるのはなかなか難しいことなのですが、ダンロップさんの場合にはそうした声は一切上がらなかったですね。ダンロップさんの工場長と白河市長の誌面対談でも、工場長が白河ってこういうところなんですってPRしていただいて、逆に市長がゴルフの魅力をPRするような、本来と逆のような内容になっていました。(笑)
地域のボランティアの方も同じような気持ちだと思います。
毎年優勝者に甲冑だるまを副賞として差し上げているのですが、その甲冑だるまを作っている方もボランティアとして会場に来られます。地元の人からすると、子どもが憧れるというより子どもも大人も関係なくプロ選手やプロの大会に憧れて、少しでも関わりたいという気持ちが大きいのだと思います。
十文字)本当にありがたいですね。今後は新たなステージに変わっていくんだろうなと思っています。今年はコロナ禍でもなんとか続けることができてよかったなと。今後もたくさんの人がこの地域に来るような日になることを信じつつ、市としても新しい形で地域の魅力や観光を打ち出せるように、この大会と一緒になってやっていきたいと思います。