7月18日（木）に開幕する世界最古のゴルフトーナメント「全英オープンゴルフ」。148回目となる今年の舞台は、1951年大会以来、実に68年ぶりの開催となるロイヤルポートラッシュGC（北アイルランド）です。今シーズン最後のメジャートーナメントである今大会に、チーム・スリクソンからは、松山 英樹、稲森 佑貴という2人の日本人プレーヤーをはじめ、地元出身のグレイム・マクダウエル、シェーン・ローリー（アイルランド）、キーガン・ブラドリー（アメリカ）など総勢14名が参戦。リンクスでの激闘に向け、調整を重ねるプレーヤーたちの様子を3日間にわたってレポートします。
大会のドライビングレンジのすぐ近くに設置されているのが、スリクソンのプロサービス用のトレーラーです。全長が日本のサービスカーの約2.5倍はあろうかというこのトレーラーは、今年3月に新たに導入されたばかり。広々とした作業スペースの後方にはミーティングルームとサロンが設けられ、クラブのパーツなどを収納する戸棚の扉や床はシックな木目調で統一されています。このトレーラーは、イギリスを拠点に、東はチェコ、西はポルトガル、南はイタリア、北はスウェーデンと、ヨーロピアンツアーのトーナメントのうち年間約20試合に出動。ここはまた、スタッフと契約プロたちとのコミュニケーションの場でもあります。
今大会が自身にとって初のメジャー出場となるのが稲森 佑貴プロ。一昨日（土曜日）に現地入りし、前日の日曜日はアウトの9ホールをラウンドしたそうです。この日はドライビングレンジで、レーダー式弾道計測システム「トラックマン」を使い、愛用する『スリクソン Z585アイアン』の番手ごとの飛距離をチェック。実はこのアイアン、地面が非常に硬いリンクス対策として、ソールの一部を削り日本から持参したもので、稲森プロは、「抜けがいいです」と満足の表情。日本でも帯同キャディを務める明神キャディからは「いい球だね」という声がかかっていました。
そして、11時過ぎから、練習ラウンドを行なった稲森プロ。「月曜からギャラリーがたくさんいて、練習ラウンドなのに“試合感”が半端ないです」と、初めて体験するメジャーの雰囲気に目を丸くしていました。
松山 英樹プロは、今大会には7年連続7回目の出場。先々週の米男子ツアー「３Mオープン」で今季5度目のトップ10入り（7位タイ）を果たし、上り調子でメジャー最終戦を迎えます。松山プロは、土曜日の夕方前に現地入り。スリクソンのプロサービススタッフによると、当初は練習のみの予定でしたが、急きょ18ホールを練習ラウンド。さらに前日の日曜日も、18ホールを、グリーン周りの練習を中心にたっぷり5時間かけてプレーしたそうです。そのため、この日は昼過ぎにコース入りし、ラウンドはせずにパッティンググリーンやドライビングレンジ、アプローチ練習場でおよそ3時間調整。その合間には、JGTO会長で、毎年日本へのテレビ中継の解説を務めている青木功プロの話に耳を傾けたり、隣の打席のグレイム・マクダウエル選手とリラックスした表情で言葉を交わしたりしていました。
今大会への出場は3年ぶりとなる“Gマック”ことマクダウエル選手。出場権を得る最後のチャンスだった6月上旬の米男子ツアー「カナディアンオープン」で8位タイに入り、見事大会への切符を手に入れたのも記憶に新しいところです。マクダウエル選手は、ここポートラッシュで生まれ、ゴルフを覚えたまさに地元のヒーロー。そのため、この日ドライビングに登場すると、ただ一人拍手と歓声を浴びていました。ドラビングレンジでは、コーチの指導を受けながら、ダウンスイングの腰の動きをチェック。その合間には、現在愛用中の『スリクソンZ-785ドライバー』に装着するシャフトをたびたび交換しては、スリクソンのクラフトマンと意見交換する場面も見られました。アゲンストの風に向かって力強いドローボールを放っていたマクダウエル選手ですが、クラフトマンによると、最近調子が上向きで、以前よりボールが高く上がるため、シャフトによってスピン量を抑えられないか模索中とのこと。この日に続き明日もテストをすることになりました。そして、練習が終わると、ドライビングレンジの横に大挙して陣取るギャラリーに、笑顔でサインや写真撮影に応じていました。
前日の日曜日は、欧米両男子ツアーの最終日の競技が行われていたため、この日、練習ラウンドをする選手はまだまばら。明日（火曜日）は、残念ながら天気予報は雨ですが、今日より多くの選手が練習ラウンドを実施するはずで、松山プロは午前10時過ぎ、稲森プロは午前11時過ぎにそれぞれティーオフの予定です。