【VOL.2】〝飛びの翼〟はフェアウェイウッド&ハイブリッドにも。アイアンも〝たわみ〟で飛ばす
【VOL.3】〝翼〟とレディスゴルファーに寄り添う設計が、大きな飛びと快感をもたらす
初のモデルチェンジを迎えた『ゼクシオ エックス』(以下、エックス)と、その名の通り初代から数えて12代目モデルとなる『ゼクシオ 12(トゥウェルブ)』(以下、12)。その開発は、やはりコンセプトをしっかり固めることからスタートした。
「ゼクシオのゴルフクラブの歴代モデルは、代々〝飛び、打ちやすさ、爽快感〟を謳ってきました。今回もそこは変えないとして、後者の2つは感性に関わる、それこそが他社製品と差別化できるゼクシオのユニークな部分なので、まずはそこをしっかりすり合わせました。そうして決まったのが、〝振りぬける安心感で、一度打ったらやめられない。また次の1球が打ちたくなる〟というコンセプトでした」
と、今回、商品企画を担当した佐藤 弘樹は語る。
〝1球目からナイスショット〟。これはゼクシオが初代から目指してきたコンセプトであり、これには、遠く、まっすぐ飛ばすだけでなく、ゴルファーに気持ちいいと感じてもらうことも含まれる。新しいエックスと12は、飛距離、方向安定性といった基本性能は進化させつつ、気持ちよさを踏襲することをめざした。
では、「振りぬける安心感」を実現するために、NEWゼクシオシリーズのドライバーヘッドはどんなことから着手したのだろうか。
それについて、商品開発を担当した水谷 成宏は次のように話す。
「これまでのゼクシオのドライバーというのは、他社品にくらべ長くて軽く、基本的にはヘッドスピードを上げて飛ばそうという構造になっていました。ただ、一方で、力が入ったときにはどうしてもヘッドがブレる、暴れてしまうことが課題として挙がっていました。そのため、これまでにも、いかにインパクトの条件をよくするかということを考えてきたのですが、今回はそれをヘッド単体としてできないかという着眼点で開発をスタートさせました」
そこから開発陣は、自社、他社を含めた数多くのドライバーのヘッドをさまざまな視点から検証した。そして、ひとつのアイディアとして、クラウンの一部を張り出させるという案が出された。
張り出させるなら、最適な位置はどこか? 重心や打球音への影響は? 試行錯誤の末に生まれたのが、クラウンのヒール寄りに設けられた「ActivWing(アクティブウイング)』(以下、AW)だった。
「アベレージゴルファーの多くは、切り返し後のダウインスイングの前半に余計な力が入ってしまい、遠心力の影響でトゥが垂れたり、フェースが開いたりします。インパクトが乱れるのは、そうした複雑な動きが原因なのですが、AWは、空気の流れを受け止め、コントロールすることで、フェースを安定させ、よりよい条件でインパクトを迎えやすくします」(水谷)
これまでゼクシオは、シャフト、グリップを含めたクラブ全体でゴルファーの身体に働きかけて、スイングの軌道を修正するなどの革新的な技術を生み出してきた。それに対しAWは、身体の動きやスイングに多少問題があっても、ヘッドが自身の姿勢の乱れを正すという、一歩進んだ新しいテクノロジーと言える。
「当たり方がよくなって飛距離につながれば、〝強く振っても大丈夫〟というマインドが生まれ、〝振りぬける安心感〟というコンセプトにつながります。〝まっすぐ飛ぶ〟と思えれば、安心感が増してどんどん振れるし、気持ちよさが生まれます」(佐藤)
ヘッド自体がその動きを制御するAW。実験では、AWを設けないヘッドとくらべ、打点のバラつきが17%、フェース角のバラつきは23%も低減した。芯でとらえる確率がそれだけ高まることで、ボールスピードは大幅にアップするのだ。
ヘッドの動きを正し、インパクトでの条件を向上させるAW。設けられた位置が、アドレスでの見え方に影響するクラウン部ということで、カラーリングなどのデザインも慎重に進められた。
「開発部の中で凸状にすることが決まったことを受けて、それならば、より目立たせるべきか、あるいは周囲に馴染ませるべきなのか、デザイン企画内部でさまざまな検討をしました。凸部の仕上げを変えてみようかというアイディアも出たのですが、最終的には、やはり構えた時に不自然ではない、けれども、そこに突起があることがわかるようなデザインにできたかなと思っています」
デザイン企画チームの一員として、NEWゼクシオシリーズのデザインを担当した岡部 敏子はそう話す。ただ、エックスと12のAWは、形状は同じだが、それぞれ異なるデザインを採用。エックスは、V字状のグリーンのラインが印象的で、これはソールにも配置されている。
「どんな色がいいのか、社内で意見を募ったところ、グリーンが〝若々しくていい〟〝躍動感がある〟と高い評価を得ました。また、目にもつきやすいことから、初代のオレンジとはまったく違うグリーンを採用しました」(岡部)
AWが、ヘッドの姿勢の乱れを正し、理想的なインパクトを実現するのに対し、ヘッドの反発を高めることで大きな飛びにつなげる構造が「リバウンドフレーム」(以下、RF)だ。
RFは、アスリートゴルファー向けモデル「スリクソン ZXシリーズ」に初めて搭載され、今年マスターズ制覇を成し遂げた松山 英樹プロにも高く評価されているダンロップ独自の技術。フェースからソールにかけて「軟・剛・軟・剛」と剛性の異なる4つの層を組み合わせることでフェースとボディを大きくたわませ、高いボール初速、ひいては大きな飛びを生み出す。
「ただし、新しいエックスと12に採用したのは、スリクソンのRFに設計面で工夫をこらしたものです。それは、両者のターゲットの違いに由来します」(佐藤)
スリクソンの場合、フェースが比較的ディープで、ユーザーについても、打点のバラつきが少ないゴルファーを想定しているため、ボディとの溶接部はフェース面上にある(開口フェース)。
一方、ゼクシオの場合、重心を低く設計するためにシャローヘッドにしてきたことに加え、ユーザーの打点のバラつきに対応するために、まずスイートエリアを広くしないといけないという大前提がある。シャローでも広いエリアを確保するためには、オフセンターヒットに強さを発揮するカップフェースの採用が欠かせない。
「ただ、従来のカップフェースは、〝軟・軟・剛・剛〟という構造になっていて、溶接部は一つ目の剛の位置にありました。溶接部はどうしても硬くなりやすく、それはやむを得ないのですが、本来なら軟らかくしたいところが硬くなっていたため、反発をロスしていたのです。そこで今回、エリアの広さというカップフェースのメリットを最大限に生かし、〝軟・剛・軟・剛〟という構造にするために、溶接部をフェースの近くに移すことで剛の部分をより硬くして、RFとしての性能のアップとエリアの広さを両立できたのです」(水谷)
アクティブウイングとゼクシオ版リバウンドフレームという2つの革新的な技術を組み合わせることで、大きな飛びを生み出すゼクシオのNEWドライバー。ここからは、それぞれのモデルについて見てみよう。まずはエックス。そもそもどんなゴルファーをターゲットに想定しているのか。
「ミスを小さくしてくれるなど、クラブのサポートを望んではいるものの、気持ちよく、思うがままに振りたいゴルファーです。つまり、ある程度体力があるゴルファーになりますが、まだゼクシオを使ったことのないゴルファーにもぜひ使って欲しいモデルです。」(佐藤)
前作からの大きな変更は、シャフト脱着機能「QTSスリーブフィッティングシステム」(以下、QTS)をゼクシオとして初めて搭載したこと。その是非については、社内でもかなり議論したという。
「今回も、クラブ全体で高いパフォーマンスを発揮するというゼクシオ伝統の考え自体は変えていません。とはいえ、海外ブランドモデルを筆頭に、脱着式に慣れているゴルファーは多いと思います。市場を見ると、脱着式モデルを買っても純正シャフトを選ぶユーザーが多いのですが、他のシャフトも試してみたいと考えるゴルファーが多いのも事実。それに、試打計測システムが発達し、複数のシャフトを試すのが当たり前になりつつあります。角度調整機能も含め、様々な選択肢がある中で、エックスを選んでいただくためには、やはり脱着機構があったほうがいいというのが、エックスにQTSを採用した大きな理由です」(佐藤)
ゼクシオ未経験のさまざまなゴルファーに手に取ってもらうための仕掛けのひとつが、QTSと言える。そして、前作とくらべた時、わずかな違いではあるものの、大きな変更点と言えるのが、フェースの向きをスクエアにしたことだ。
従来のゼクシオは、つかまりをよくするためにクローズフェースが多く、初代のエックスもそうだった。実際、「構えやすい」「安心感がある」という声が多く聞かれたが、他社製品を見るとオープンフェースのモデルが増えてきているという。
「新しいエックスのフェースは開いていて、構えたら、ほぼスクエアに見えます。数値上はオープンになっています。これは、スクエア~オープンなフェースを使い慣れているユーザーが、違和感なく構えられるようにするための設計です」(水谷)
アクティブウイングには、打点のバラつきを抑える働きもあるが、それ以上に、しっかりつかまるスクエアなインパクトに導く効果が期待できる。新しいエックスをスクエアフェースにしたのは、そんなAWの効果があるからだ。
エックス用に新たに開発された「Miyazaki AX-2カーボンシャフト」も、〝思うがままに振りたいゴルファー〟というターゲットに合わせて変更が加えられた。
「初代のシャフトに対して、ユーザーから『純正シャフトとして物足りない』という声が聞かれた一方で、『振りやすい』とも言ってもらえました。ならばと、初代のいい部分を踏襲しつつ、しっかり感を持たせるために、いろいろな研究とテストを重ねました。その結果、初代より軽く、なおかつ硬くしました。ターゲットの想定ヘッドスピードも12シリーズより速く設定しています。」(水谷)
これも、〝ゼクシオ=ヘッドスピードがあまり速くないゴルファー向け〟という従来のイメージを払拭し、ユーザー層を広げるための変更と言える。
続いて12ドライバー。こちらも、まずはターゲットとなるゴルファーを確認しておこう。
「自分のゴルフをエンジョイするために、ミスを小さくしてくれて、曲がりそうな当たりでもまっすぐ飛んでくれる。そんなふうにクラブが助けてくれることを望むエンジョイ派のゴルファーですね。その中でも、これまでゼクシオが好きで使い続けてくださった方が中心と考えています」(佐藤)
脱着機能を採用したエックスに対し、12はこれまでと同様、シャフトは固定式だ。これは、クラブ全体で飛ばすというゼクシオの基本理念に沿って、ターゲットにとって軽く振りやすいクラブを追求したもの。これまで通り完成した一本のクラブを、豊富なスペックで提供する。
ただし、純正カーボンシャフト「MPシリーズ」に関しては改良を加えた。
「ゼクシオでは、軽くて振りやすいシャフトを追求してきました。それは今回のMP1200 も同じなのですが、ターゲットとする〝振り切るのが難しい〟〝楽に振り切りたい“と感じているゴルファーにとっての振りやすさとは何かを追求すると、もう少し軽くしたほうがいいだろうと。とはいえ、強度やゼクシオならではの振った感じを維持する必要があります。そこで、最先端の素材を使いつつ、ダンロップがもつ積層のパターンに関する知見を生かして1g軽くすることができました」(佐藤)
MP1200シャフトに関して、もうひとつ変わったのがカラーリングだ。歴代モデルは青や紺、黒といった濃色を採用してきた。それに対し、今回は、先端側はヘッドに馴染むような紺(レッドは赤)であるものの、手元側から中ほどまでは白を基調にしている。
「白で表現したかったのは、やはり〝王道〟のイメージなのですが、〝ゼクシオが変わった!〟とアピールしたい狙いもあります。実はゼクシオのユーザーには、以前は白はそれほど高く評価されていなかったのですが、市場では白はごく一般的です。テスターに聞いても、『まったく違和感がない』という声が半数以上でしたし、好意的な意見も多かったことから採用しました」(岡部)
こうしてみると、エックス、12ともに「振り抜ける安心感」という同じコンセプトのもとに開発されたものの、性能、外観ともにエックスの「躍動感」「力強さ」が強く印象づけられたことで、それぞれのターゲットがより明確になった感がある。
最後に、水谷に、エックスと12、それぞれのモデルの購入を検討しているゴルファーへのメッセージをお願いした。
「ゼクシオがこれまでに培ってきたウェイトプラステクノロジーや独自のシャフト設計などは、他社にはない強みだと考えています。それにプラスして、今回、ヘッドにアクティブウイングとリバウンドフレームを搭載したことで、ヘッドとしての完成度は上がっています。ですので、従来のゼクシオのファンの方は、スムーズに12にスイッチできる上、進化を体感してもらえるはずです。そして、エックスはシャフト脱着機能によって、様々なタイプのゴルファーが自分に合うシャフトを選べたり、弾道を調整できたりするので、シャフトにこだわりがある方、ゼクシオを使ったことのない方も、ぜひエックスを打ってみていただきたいですね」。
◇『ゼクシオ エックス ドライバー』の製品情報はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/xxio/xxio2022/eks/driver/
◇『ゼクシオ 12 ドライバー』の製品情報はこちらをご覧ください。
https://sports.dunlop.co.jp/golf/xxio/xxio2022/12/driver/
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