2021/12/10

コラム

バックスイングが安定すればショットが安定する。正しいバックスイングを身につけるポイント

多くのゴルファーが悩まされるバックスイング。
「どこから動き始めるの?」「どの方向に動かしたらいいの?」「スピードはどの位?」「力加減は?」など、多くの方が様々な疑問を持っているのではないでしょうか?
バックスイングが安定する事でその先の「トップ」「ダウンスイング」にも好影響が期待できるのですが、実はスイングの中で一番「難しい」と言われている部分でもあり、多くのゴルファーが悩んでいる部分でもあります。
ボールを打つ前の比較的ゆっくりとした動きのバックスイングですが、なぜ一番難しいと言われているのでしょうか。
難しいと言われる理由を具体的に考えて行きましょう。

スイングの中で一番難しいと言われている「始動」があるからです。実際にバックスイング自体が難しい訳ではなく、バックスイングを始める為の「始動」が難しいと言われているのです。

なぜ「始動」が難しいのでしょうか。それは「静」から「動」へ変化させる「きっかけ」が難しいからです。

野球のバッターやテニスなどは、動いているボールに「タイミングを合わせる」ので、自らタイミングを作り出す必要はありません。しかし、ゴルフはボールが止まっていますので、その止まっているボールに対してプレーヤーは自ら動き出さなければスイングができません。その、止まっている状態である「静」から「動」への変化がゴルフで一番難しいと言われている部分です。
では、その難しいと言われている「始動」を、上級者はどの様に対応しているのでしょうか?

 プレショットルーティーン(以後、ルーティーン)とは、スイングを始める直前まで行われる色々な準備動作を同じパターンで繰り返すことを言います。これはゴルフ以外でも様々なスポーツで行われています。
 例えば、野球ではイチロー選手がバッターボックスに入った時に行う仕草や、ラグビーでは五郎丸選手がキック前に行う仕草も有名です。ボールが動いているテニスでもサーブを行う際にはその選手なりのルーティーンがあります。これらを行うことで自分自身の最高のパフォーマンスが発揮しやすくなると考えられています。
 こういった一流アスリートのその仕草や手順はとても有名ですが、実際には多くの練習と試行錯誤によって生み出されてきたもので、本人にしかわからないような意味が込められています。
同様にゴルフでも多くのトッププロがそれぞれ特徴的なルーティーンを行ってスイングを行っています。

 そしてこのルーティーンですが、実はそれはトップ選手のみしか行っていないわけではなく、実際には多くの方がすでにルーティーンを行ってスイングしたりプレーしたりしているのです。練習場で色々な人がボールを打つ様子を見るとすぐにわかると思いますが、実は皆さんそれぞれルーティーンと言えるものを持っています。周囲からは、その人特有のクセとして感じる場合があると思います。

 問題は効果的なルーティーンを意識しているかいないか、意識しているとしてそこには効果的な的確な意味があるのかといったことなのですが、ゴルフの練習を始めたばかりで、ルーティーンにスイングの深い意味を感じ取るのは非常に難しいと言えます。

そこでおすすめなのが、良いルーティーンの手順を「真似してみる」ことです。
ゴルフで行われるルーティーンの一例を挙げてみると、

1、頭が天から吊られる意識で 真っ直ぐに良い姿勢で立ち
弾道をイメージする。

2、クラブを目標にセットしたら 身体の向きを合わせてスイング できる姿勢をとる。

3、グリップを握りクラブの重さを感じながらワッグルする。
ワッグルしながら両足は足踏みを行い、ボール位置や方向などアドレスの微調整を行う。

4、決まった回数のワッグルや 足踏みを行ったらバックスイングを「始動」する。

これは多くの方が実施している仕草と流れです。ワッグルの回数や足踏みの回数によってスイングの感覚や結果も変わりますから、少し試行錯誤して自分なりに作ってみましょう。

フォワードプレスとは、スイングを始めるときに、一度グリップを目標方向へ軽く押し、それを戻して来る反動を利用してバックスイングを「始動」するきっかけ動作です。同じ意味のものとして、右ひざを目標方向へ一度押し込んでからスイングを「始動」するものもあります。

◆グリップのフォワードプレス
①軽く目標方向へグリップを押し込んで
②戻って来る反動を利用してバックスイングをスタート

◆右膝のフォワードプレス
①軽く目標方向へ右膝を押し込んで
②戻って来る反動を利用してバックスイングをスタート
 ※戻って来る反動を利用する際、右膝が大きく流れないように注意。

「静」から「動」へ移行するバックスイングの「始動」は、時間をかければかける程、余計な思考が働きやすくなるので焦りや力みが生じ、身体も硬くなりスムーズにバックスイングが出来なくなります

つまりルーティーンの手順や、フォワードプレスなども自分なりのパターン化する事は重要ですが、その「動」の流れを止めないためにも長い時間をかけ過ぎない事です。練習しながら手際よく無駄な動作を省いて意味のある動作のみに絞り込んで、気持ちよく「始動」出来るように磨いていきましょう

間違ったバックスイングは様々なミスの原因となります。ここでバックスイングのエラーを確認しましょう。

●バックスイングで極端にクラブフェースが開く

●バックスイングで極端にクラブフェースが閉じる

●手と体の一体感が無く腕だけでバックスイングを行う。

●手と体の一体感が無く、腕と体が離れてアウトに上がる。

●伸びあがるバックスイング

●スエーする

間違ったバックスイングは、ダフリ、トップ、スライス、フックなど様々なミスの原因となります。いくつかの例を挙げましたが、全てにおいて「余計な動きをする事で再現性が低くなっている」と言えます。余計な動きを極力行わない様にする為には、ルーティーンの中に良い準備を盛り込んで、特に重要になる
「身体と腕・クラブの一体感」をもってスイングを「始動」
出来るようにすることです。「身体と腕・クラブの一体感」が無い状態で「始動」しても良いスイングにつながっていくことはありません。

バックスイングに悩んでいるゴルファーは非常に多いのですが、どの様な悩みがあるのでしょうか?その例を幾つか挙げたいと思います。

 バックスイングはどこから動き出すのでしょうか?これは実は非常に難しい問いです。一般的には 2つのタイプに限定して言われているようです。ひとつは「クラブヘッドから。」もうひとつは「身体から。」
 ではどちらが正しいのでしょうか?
 正解は人それぞれです。この答えは個人の感覚的なものなので、その質問を与えられたときに成功の確率が高いと感じる方がその人の答えとなります。ただゴルフを続けていくと時々の調子によって良いと思う感覚も変わりますから、実際には答えの出ない禅問答のようなものと考えてよいでしょう。

●クラブヘッドからバックスイングスタート

●身体と一体にバックスイングスタート

 一方で、正しいスイングの重要なメカニクスとして「身体と腕・クラブの一体感」があります。ヒトの身体の骨格や筋肉、脳や神経系の構造や仕組みからゴルフスイングを考えていくと、身体が主体となって「腕とクラブを振れている」状態のスイングが理想的となります。

 ただし身体の使い方はとても複雑で奥深いものですから個人差が大きく出るので、ここでは細かな難しい話をさけてまとめると、スイング全体を見た時に「ルーティーン」や「始動」の結果が、「身体と腕・クラブの一体感」が一定レベル保たれていて、バックスイングにおける身体の動作やクラブの動きに大きなミスにつながる悪影響がない事が重要です。

 打球の行方が決定されるインパクトまでには、バックスイングの後に切り返しやダウンスイングとい った動作が控えています。小さな振り幅からフルスイングまで、バックスイングでたとえ大きな特徴的な動作や小さな間違いがあったとしても、その先でうまく補って正しくインパクト出来て結果が良ければ問題はありません。

 プロのレベルも超えるような究極の理想を追い求めるのであれば話は違うのですが、まずは自分の身体がすでに持っているものを利用しながら上達していくことが現実的なのです。

「身体と腕・クラブの一体感」についてはこちらのコラムも参考にしてください。

長さがまったく違うドライバーと SW。一般的なドライバーの長さは 45 インチ(約 114 ㎝)。一般的な SW の長さは 35.5 インチ(約 90 ㎝)です。この 24 ㎝の違いがあるクラブを、プレーヤーは使いこなさなければならないのですが、実際に構えてスイングしてみると感覚が大きく異なるように感じます。実際、バックスイングの上げ方やクラブの振り方を変えなければならないのでしょうか?

◆ドライバーのアドレス

◆ドライバーのトップ

◆サンドウェッジのアドレス

◆サンドウェッジのトップ

正しくは、良いスイングであればバックスイングの上げ方を変える必要はありません。クラブの長さが変化する事によって、見た目はドライバーでは「フラット」に、SW では「アップライト」に上げている様に見えるのですが、アドレス時の姿勢の前傾角度による影響の結果なので、バックスイング時の腕の持ち上げ方を変える必要はありません。 言い換えれば、アドレスと基本スイングがきちんと作れていれば、スイングを変える意識は全く必要ないと言う事です。
繰り返しになりますが、インパクトまでには、バックスイングの後に切り返しやダウンスイングといった動作が控えています。小さな振り幅からフルスイングまで、バックスイングでたとえ大きな特徴的な動作や小さな間違いがあったとしても、その先でうまく補って正しくインパクト出来て結果が良ければ問題はありません。再現性が高くその特徴を使う方がスピードもパワーもコントロールも滑らかさも、よりうまくいくものであるということです。

つまり「自分の能力を最大限引き出せる特徴」であるならば何も問題はありません。「自分の特徴」、「自分の悪い癖」を明確にさせながら自分なりのバックスイングを見つける事が重要になってきます。

では、練習量が少ないアマチュアゴルファーは、どの様に「自分なりの正しいバックスイング」を見つけて行けば良いのでしょうか。

正しいバックスイングを可能にするために、どの様な事が必要なのか細かく考えて行きましょう。

プロの様にコースでの練習やプレー回数が多ければ、ある程度の変則的なバックスイングでも練習量でその後の修正動作によってカバーする事ができますが、多くのアマチュアゴルファーは、多くの時間を練習に割く事が出来ません。そこで基本的な動作を効率的に学びながら進める必要があります。
少ない練習量、効率的な練習で自分なりのバックスイングを見つけるには何を注意したら良いのでしょうか。

●アドレスを確認しよう

ゴルフの基本はアドレスです。正しいバックスイングには、まず正しい準備が必要です。
頭は天から吊られているイメージでまっすぐに良い姿勢で立ち、良いアドレスの姿勢にいつでも入れるようにしておきます。

それに加え軸を意識して首や肩はリラックスし、いつでもスイングに入れる状態を作り、コアや土台となる脚は力を逃がさないように適度に緊張感を保ち、安定した良い姿勢を作ります。
正しい姿勢は、正しい方向に向ける必要があります。ゴールであるターゲット方向に対して正しく構えましょう。アライメント(方向合わせ)も重要です。これは練習場とは違って打席やマットが無いコースでは意外と難しいのです。アライメントが変わるとスイングも変わります。練習の成果を出すにはアライメントを合わせなければなりません。

「身体と腕・クラブの一体感」持った状態でスイングを始動できれば、腕やグリップ、肩や首には最低限の力しか働いていない脱力状態になります。感覚的に始動して動き始めたクラブは、クラブ自身の慣性力や遠心力を使って、動き続けようとする力が働きます。その力をプレーヤー自身が邪魔する事なく使う事が出来れば、その後のバックスイングやコック動作も正しく安定したものを身に付ける事が出来るようになります。

男性ゴルファーは、女性ゴルファーやジュニアゴルファーのスイングを思い出して下さい。男性に比べて女性やジュニアのスイングの方がしなやかでフィニッシュも綺麗、癖が少ないと感じませんか?男性の方が変則的なスイングしている方が多いのではないでしょうか。
それは、ジュニアや女性の方が非力で、慣性力、遠心力が働いているクラブを操作するほどの腕力を持っていないことにも起因しています。心理面でも飛ばしたいとかといった変な力み、焦りも少ないので身体の余分な力が抜けて、腕や身体がしなやかに動作するのです。

クラブの遠心力を利用したバックスイングをイメージする練習方法です。アドレスからバックスイングをスタートさせるのではなく、一度、クラブを目標方向へ放り出します。おおよそ 30 センチ程度(左足の少し外)までクラブを放り出し、クラブが戻って来る遠心力を利用してバックスイングを行って下さい。何度も行ってみたら、クラブがいつも同じポジションに収まる事が分かると思います。

①アドレスの位置から一度フォローへクラブを出す。

②クラブヘッドを出した位置から戻って来るクラブヘッドの遠心力を利用してバックスイングする。
※自分の力ではなくクラブの遠心力で動かされる感覚を掴む様に。

これも上記ドリルを同じ意味を持つ練習方法ですが、前傾した状態で連続した素振りを行います。前傾を保った状態なので、フォロースルーは途中までしか取れませんが、①、②を繰り返すとクラブの遠心力を利用して、毎回同じトップとフォローにクラブが収まる事が分かると思います。

クラブの動きに歪みが生じ、毎回同じクラブの通り道にならない方は、クラブを「操作」している可能性が高く、クラブの動きに体の動きを合わせられていない状態です。

ただし、この2つのドリルには注意が必要です。練習場などでボールがある状況で行う場合は、フォローからクラブを戻してバックスイングする際、打席後方へボールを飛ばさない様に注意して下さい。

バックスイングは、スイングの中で一番難しいと言われる「始動」を含み、動き出してからも比較的ゆっくり動くので色々と考える時間的余裕もあり、ついついスイングに余分な動作を入れて複雑かつ不自然な流れになりやすくなります。
腕でクラブを持ち上げると正しい慣性力や遠心力も発生しませんし、余分な力がクラブの自然な動きをも阻害してしまい、クラブの重さを利用して動きを安定させるのが難しくなります。

多くのゴルファーが悩みを抱えている部分でもあるのですが、あれこれと細かく考え過ぎるよりも、「身体と腕・クラブの一体感」をもって「始動」することでクラブの動きや重さや遠心力を利用して、バックスイングにおいて腕でクラブを「動かす」意識よりも、「動かされる」と意識する方が上手く行く部分でもあります。
考える(意識する)のであれば、クラブや手先などの細かい部分ではなく、スイング中の姿勢、コアや体幹や土台となる脚腰、リズム、タイミング、重心位置など、大きな部分を考える様にすることが安定したバ ックスイングを身に着ける為には不可欠な考え方です。

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