2022/01/07

コラム

スライスってなんだ?なぜスライスが起こるのか、その原因と対策方法を伝授

そもそもスライスとは何でしょうか?スライスとはボールが右へ曲がって行く(左利きの人は左へ)球筋の事です。
空中を飛んで行くショットでもグリーン上でボールを転がすパッティングでも右へ曲がって行く(左利きの人は左に曲がる)ボールはスライスと言います。パッティングは地面に接しながらボールが転がって行くので、傾斜の影響を受けてボールが曲がるのですが、ショットの場合は風などの影響を除けば、ボールにかかっている「サイドスピン」の影響によってボールがスライスします。

では、何故ボールにサイドスピンがかかるのか?ゴルフではボールが曲がる(スピンがかかる)要素としてインパクトにおける2つの重要なポイントがあります。

◇クラブ軌道(ターゲットに対して)

1、インサイドアウト
2、インサイドイン(スクエア)
3、アウトサイドイン

◇フェース向き(クラブ軌道に対して)

A、オープン
B、スクエア
C、クローズ

この2つのポイントがそれぞれ3タイプあり、3タイプをそれぞれ組み合わせる事によって「9つの球筋」が生まれます。

球筋を大きく分けて9種類に分類出来る事が理解出来ましたか?

スライスによる飛距離ロスの程度はどうなのか?

また、スライスすることによって同じヘッドスピードの理想的な弾道と比べてどれくらい飛距離をロスしているのかが重要な指標になります。曲がりが大きいということはそれだけ飛距離のロスも大きいのです。実際に50ヤード以上も飛距離をロスしている場合もよく見受けられます。曲がりも大きく、飛距離も大きくロスとなれば当然スコアにも大きな悪影響が出ます。

自分がどの球筋なのか、ロスの程度はどのくらいなのかを理解する事によって自分の問題点、練習方法が分かるようになります。

インパクト軌道が正しい軌道からどの程度ずれているのか、クラブフェースの向きは軌道に対してどのくらい開いてしまっているのか?まずは、これらを客観的に確認しましょう。
明るい昼間の練習場でスマホのカメラでスローモーション機能があればそれを使ってインパクト前後の軌道を撮影すれば傾向がつかめると思います。(暗い天候や夜間では、クラブや腕の被写体ブレが発生して軌道の確認が難しくなります。)

また、コースに行くと特にスライスが大きくなる場合は、後述するアドレスが練習場よりも更にスライスしやすい状態に狂っていることが考えられます。曲がりが大きい場合は、大振りを控えてスイングの基本からの確認が欠かせません。

あらためて9つの球筋を見て頂くと、スライスだけで①、④、⑦の3種類ある事が分かります。
それぞれのスライスを具体的に見て行きましょう。

プッシュスライスは、ターゲットラインよりもボールが右に打ち出され、尚且つ右にボールが曲がって行く球筋です。ターゲットから右に逸れて行きます。右OBとなる事が多い球筋です。

ヘッドが大きく開いてしまう初級者の場合はボールが高く、弱々しい球となり飛距離も出ません。飛距離ロスの少ない中上級者の場合は、右に打ち出すフック系の持ち球の人がミスショットでスライスをしてしまうケースがあります。
インパクトでの強めのインサイドアウト軌道とクラブフェースの過度なターンによる引っかけ(フックボール)がセットになっている場合が多く、軸のブレや引っかけを恐れるがあまりスライスさせている場合もあるようです。

ストレートスライスはターゲットラインに打ち出され、そこから右に逸れて行く球筋です。ターゲットラインよりもフェースが開いた状態のインパクトの為、ナイスショットに比べるとボールは少し高めで弱い球筋ですが、①のプッシュスライスよりは低く抑えられるので飛距離のロスも少ない球筋といえます。

初級者と上級者で大きく意味合いが違うのがこのプルスライスです。
プルスライスは、ターゲットラインよりも左に打ち出され、そこからスライスして行くのでターゲット方向に向かって行くスライスの中ではコントロールされた球筋です。クラブ軌道に対してフェースは開いた状態でインパクトするのですが、クラブ軌道がフォロースルー側で体の近くを通る事でボールに力を伝えやすく、クラブの入射角も上から入って来る為、ボールも低めに打ち出されてスライスの中では力強い球筋となります。上級者が好むのはインサイドインから少しだけカット軌道(アウトサイドイン軌道)のイメージで、飛距離と曲がり幅がコントロールされたベストなスライスです。良いスライスをフェードボールという呼び方をする場合があります。

ただし、初心者に多く見られるスライスも、このプルスライスが多いのです。極端なアウトサイドインのクラブ軌道とクラブフェースが大きく開いた状態で、左に打ち出しながら大きなサイドスピンをボールに与えています。これでは飛距離の出るコントロールされた力強いスライスにはなりません。

スライスは大きく分けて①プッシュスライス、④ストレートスライス、⑦プルスライスの3タイプがあると説明しました。飛距離が極端に落ちて目標からどんどん遠ざかる①プッシュスライスと、ボールはスライスしますが力強く飛び出して目標方法にボールが曲がって来る⑦のプルスライスでは、同じスライスでも良いスライスと悪いスライスがある事は理解い頂けたと思います。
もちろん上述のように良いスライスと言っている⑦プルスライスも極端なアウトサイドインのカット軌道では、十分な力がボールに伝わりませんしスピン量が増えて弱いスライスとなってしまうので、⑦プルスライスも度合いによっては悪いスライスとなりますからご注意下さい。

つぎに、スライスの原因と改善方法を説明しますが、それには適切なスイングの準備が行われているかの確認が必要です。何故かと言うと、長年スライスに悩んでいる人の中には、ティーチングプロの目線で見た時に「スライスを打つ為のグリップ」「スライスを打つ為のアドレス」をしていながら、そのことに気が付かないで悩んでいるのです。その点、上級者やプロの場合、スライスやフックを打つ為に、または低い球や高い球を打つ為には必ずアドレスから変えて、アドレスを見ただけで打ちたい球筋が伝わってきます。球筋はアドレスやグリップで決まるといえるほど重要なのですが、一般ゴルファーは意外と軽視しがちであったり、「どれが正しくどれが間違っているのか分かり難い」部分であったりします。無理やりスライスを修正しているようなスイングでは、バラツキが大きくなりますので、安定した良い弾道やスコアを得るのは難しくなります。合理的で自分に合ったグリップ、アドレスを身に着ける為には優れたティーチングプロに見て頂く事が一番の近道といえます。

ボールが曲がる要因として、クラブ軌道とフェース向きが関係する事は説明した通りです。この2つの問題をそれぞれ直していけば改善されることになります。ではクラブ軌道とフェースの向き、どちらから直して行くのがよいのでしょうか。
正解はクラブ軌道からです。理由は、クラブ軌道が良くなることで、スイングの基本動作も改善されるので、クラブフェースの向きも開きが改善される傾向があるからです。クラブ軌道を修正する前にフェース向きを改善しようとすると、スイングの基本はむしろ悪くなるような、小手先の改善となりやすくなります。しかも、多くの時間と苦労を重ねて徐々にクラブ軌道が変わって来た時には、再度フェースの向きを修正する必要も出てきます。
練習の仕方としては効率が悪く、先が見えなくなりがちです。プッシュスライスの場合、クラブ軌道もフェースの向きも両方改善が必要ですが、先ずはクラブ軌道を意識してアドレスや身体と腕の一体感などの確認をしながらボールの打ち出し方向(出球)をコントロール出来るようにしましょう

身体が起き上がり、
インサイドアウトの軌道となる悪い例

前傾を保ち、
腕と体の一体感がある良い例

ストレートスライスでその人なりのヘッドスピードが出ている場合は、比較的ベースのスイングに大きな問題があるケースは少なく、むしろアドレス時のフェース向きやグリップに問題があるケースが目立ちます。「クラブ軌道は良いがフェースが開いてインパクトしている」状態です。先ずはアドレス時のフェース向き、グリップを確認してみましょう。

ウィークグリップ(スライス)で肩のラインも左に向きやすい
悪いグリップ例

スクエアグリップで肩のラインも正しい向きに合わせやすい
正しいグリップ例

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「ゴルフクラブの正しいグリップ(握り方)とは?」

プルスライスのなかでも、飛距離が出ていて曲がり幅がコントロールされていれば、スライスの中で「良いスライス」です。世界中のトッププロでもフック(ドロー)よりも、より安全(距離と方向のミスの幅が少ない)と言われているスライス(フェード)を打っているプロが多くいます。ターゲットラインよりも左に打ち出されてからスライスして戻ってくる形になるのですが、打ち出された方向(出球)とターゲットラインの幅が狭い程、効率の良いコントロールされたスライスです。
ただし、初心者の方に見られる曲がりが大きく飛距離ロスの大きなスライスの場合は、アドレスの姿勢(ポスチャー)、グリップ、アライメント、ボール位置に身体の軸回転、身体と腕の一体感、手先の使い方の修正など、スイングの基本をしっかりと磨く必要があることがほとんどです。



スライスに悩んでいる皆さんの経験で、ドライバーと7番アイアン、どちらがスライスしますか?圧倒的にドライバーでスライスする事が多いですよね。では、なんでドライバーの方がスライスするのでしょうか?大きく分けて2つのポイントがあります。
1つ目はクラブ特性、2つ目はスイングの問題。この2つに絞って考えてみましょう。

ゴルフは一人のプレーヤー14本のクラブが使用できるルールになっています。最低1本はパターを入れますから、ショットするクラブとしては13本使用できます。それぞれクラブの長さ、ロフトの違いによって、クラブ毎にカバーできる飛距離が変わってきます。その中で1番遠くまで飛ばすことが出来るドライバー。他のクラブと比べてどの様な特徴があるでしょうか。
1、クラブが長い
2、ロフトが少ない


他にも軽い、ヘッドが大きい等の特徴がありますが、今回はスライスに影響する部分についての説明なので、長さとロフトについて説明します。

スライスとクラブの長さによる関係ですが、これは後に説明するスイングの問題にも関係してきますが、クラブが長い事で振り遅れが発生し易く、フェースが開いたインパクトになり易いと言う特徴があります。

クラブの中で1番長い1W(ドライバー)は、
シャフトが長い事で振り遅れ易く、
スライスになる確率が高いクラブ。

ドライバーのロフトは男性で9°~12°、女性で12°~14°程度あります。それに対して今回の例は7番アイアンとしますが、最近の7番アイアンのロフトは30°前後。ドライバーと7番アイアンではロフトが違う事で飛んでいる時のバックスピン量も変化します。ドライバーでは毎分2,500回転前後、それに対して7番アイアンは毎分6,000回転前後のバックスピン量があります。バックスピン量が少なくなればサイドスピン量の影響が大きくなり、ボールが曲がる原因となります。

ロフト角が9°〜12°(男性用)女性用11°〜14°と少ない1W(ドライバー)は、
ロフトが少ない事でバックスピン量が減り、サイドスピンの影響を大きく受けてボールが曲がりやすい。

クラブ特性でも書いた様に、ドライバーはクラブの中で1番遠くまでボールが飛びます。本当ならば、他のクラブと同じ様な力加減で振っても、ドライバーは一番飛ぶ様に作られているのだから力んでまでスイングする必要は無いのですが、思わず力んで飛ばそうとしてしまいます。クラブが長いドライバーを力んでスイングすると、さらに身体は開きクラブは振り遅れることになります。こうなるともう完全にスライスしか出ません。

この様な理由によりボールを上手く捕らえられない初心者はスライスが出やすいとされ、上手くボールを捕らえられる様になるには時間がかかります。
力むことなくスイングの基本をしっかりとおさえた練習が大切です。

ボールが曲がる原因が理解出来るとどの様にしたら改善出来るか?が分かってきます。その為には、自分の症状が「9つの球筋」のどれに当てはまるのかを把握する必要があります。
また、練習する際は、「真っすぐの球を打つ」事ばかり練習しても、真っすぐの球は打てません。少しレベルは高くなりますが「9つの球筋」を一通り打てる様になると、真っすぐの球の打ち方も理解できます。
練習場では「真っすぐに打とう」「どの位飛ぶか」よりも、スイングの基本を忘れずしっかりと確認しつつ、小手先に頼らずに「どの様に打ったらどの様に曲がるか」を試した方が、結果的にボールの捕らえ方が理解でき、ミート率の高い真っすぐな球が打てる様になります。


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