2022/04/11

コラム

"Tennis's コラム「D・style」"~第7回「テニスとソフトテニスの違い」について~

テニスと言えば黄色いボールを用いる「硬式テニス」を思い浮かべる方が多いと思いますが、ゴム製ボールを用いる「軟式テニス(ソフトテニス)」もあります。

名称に「テニス」とありほとんど同じかと思われますが、使用するボール以外も異なる点がたくさんあります。その違いについて見ていきましょう!

第1回コラムでテニスの発祥について触れているように、テニスの原型はフランスの修道院で行われていた「ジュ・ド・ポーム」であると言われています。「手の平のゲーム」といった意味で、手の平でボールを打ち合っていたようです。
やがてヨーロッパの貴族の間で広まっていき、後にボールや打具が進化していきました。

テニスが日本にも入ってきた当初、硬式用のテニスボールは高価で入手が難しい状況にありました。そこで代わりにゴムボールを使ってプレーするようになりました。これがソフトテニスの始まりです。
こういった中でボールや打具などが、テニスと別の形で進化を遂げていきます。

国内におけるテニスの競技人口は約343万人、ソフトテニスは約54万人と言われています。
現在の中学校における部活動においては、テニスより「ソフトテニス」のほうが多く取り入れられています。日本発祥ということや費用的な側面からソフトテニスのほうが受け入れられた背景があるようです。硬式用のテニスコートを新設するにしても地価が高い都心ほど難しかったことも理由の1つであると考えられます。
そのため中学校の部活動はソフトテニスがメインとなっていますが、中学まではソフトテニス、高校進学あるいはそれ以降にテニスへ転向する方も多く、ここに双方が共存してきた背景の1つが垣間見れます。

将来のキャリアを見据え幼少期からテニスをするケースも多数ありますが、テニス同様、近年「プロソフトテニスプレーヤーが誕生」し、賞金が出るソフトテニス大会が開催されるようになりました。
【参考文献/公益財団法人日本テニス協会、公益財団法人日本ソフトテニス連盟】

ボール


テニスボールには、ゴム球の弾力性だけで反発力を発生させる「ノンプレッシャーボール」と、ゴム球の弾力性+ゴム球内の内圧で反発性を賄う「プレシャーライズドボール」があります。一般的に試合や練習で使われるものは「プレッシャーライズドボール」で、1球の重さはITF公認球の場合「56.0g~59.4g」と定められています。

ソフトテニスのボールは、空気の入ったやわらかなゴム製のボールで、直径は6.6cm、重さは30g~31gです。使用するコート上で1.5mの高さから落として、ボールの下端が70cm~80cmバウンドするものを使用します。そのためボールに空気調整する「ヘソ」があり、専用のエアポンプを使用して空気の量を調整出来ます。
またボールの種類として「公認球」と「練習球」があり、「公認球」は赤色系のマークで、「練習球」には青色系のマークによって区別されています。なお公式試合には「公認球」しか使用出来ません。

ラケット


見た目はほとんど同じなのですが、ラケットの重さが結構違います。
テニスの場合約250~340g。それに対しソフトテニスは約180~270gです。

それぞれのボールの特性が考慮され、フレームの強度と重量、また飛びと振り抜きやすさ、しなりや食いつき感によりコントロールしやすいよう設計されています。詳しくは製品情報をご覧ください。

ネットの高さ


コートでネットを一見したとき明らかにネットの張り方に違いがあるのに気付きます。大きな違いはネットで、真ん中と両端の高さが違い、両サイドのネットポールの高さは107cmと同じですが、テニスの場合センター部分をセンターベルトで低くし91.4cmに固定して使用します。
このセンターベルトはテニスのみで使用し、ソフトテニスでは使わず使用しますので、端から端まで水平で107cmと高さが一定になります。

テニスの場合はセット制、ソフトテニスはゲーム制で行われます。テニスは「〇〇セットマッチ」で、概ね6ゲームを先取してセットを獲得できその獲得セット数により勝敗を決します。ソフトテニスの場合セットはなく「〇〇ゲームマッチ」として争われます。「5ゲームマッチでは3ゲームを先取、7ゲームマッチは4ゲームを、9ゲームマッチは5ゲームを先取すれば勝利となります。デュースになった場合、2点差をつける必要があるのは同じです。
またポイントの数え方に大きな違いがあります。4ポイント先取でゲームを獲得するのは同じですが、テニスの場合はスコアの数え方が0(ラブ)、15(フィフティーン)、30(サーティー)、40(フォーティ)であるのに対し、ソフトテニスの場合は0(ゼロ)、1(ワン)、2(ツー)、3(スリー)とそのままカウントします。

打ち方やフォーム


テニスとソフトテニスではラケット面にボールが当たる角度やフォロースルーが違います。テニスはインパクトしてから斜め上に振り抜くことを多く意識しますが、ソフトテニスはボールを押しつぶすように打ちます。
特にバックハンドの違いは顕著になります。テニスではフォアハンドとバックハンドで両面を使うことが多く、バックハンドの多くは利き腕の手の甲を正面に向け打ちます。さらにソフトテニスのバックハンドが片手であるのに対し、テニスは両手で打つ方法を用い(片手の方もいます)、ボールを安定して打ち返しています。ソフトテニスでは一般的に「手の平を正面に向けてフォアハンドと同じ面でバックハンドを打っています。
テニスは硬くて飛びやすいボールをいかにコントロールするか、ソフトテニスはゴムの柔らかいボールをいかにしっかり飛ばすかという打ち方(フォーム)になっています。したがってテニス経験者がソフトテニスボールを打つと回転がかかり過ぎボールがあまり飛ばないことが多く、ソフトテニス経験者がテニスボールを打つと硬いボールがはじき飛ぶのを押さえきれずに大きくアウトしてしまうことが多いようです。

ゲーム中のサーバーについて大きな違いがあります。テニスでは1ゲームが終わるまではずっと同じ選手がサーブをします。一方ソフトテニスは2ポイントごとにサーブを交代します。
AさんBさんペアとCさんDさんペアを例にして説明します。第1ゲームのサーバーがAさんで始まった場合3ポイント目からはBさんに交代、5ポイントめからまたAさんにと、以降2ポイントごとに交代します。第2ゲーム初めのサーバーがCさんなら3ポイント目からDさんに…となり同様。第3ゲーム目はAさんのサーブから始め…と続きます。なおサーブ権は1ゲームが終わるまで移ることはありません。

ダブルスゲームにおけるプレーヤーの役割


テニスではダブルスゲームの陣形として「雁行陣」と呼ばれる陣形を多く用います。ペアのうちいずれかがベースライン付近でストロークを中心にプレーし、いずれかがサービスライン付近でネットプレーをすることになります。テニスではペアが共にストロークとネットプレーを行う機会があります。
一方でソフトテニスはダブルスゲームの際、主にストロークしか打たない後衛、主にボレー・スマッシュしか打たない前衛が存在します。ダブルスが主流であるソフトテニスでは「前衛と後衛に分け特化した練習を行い、スキルを磨く傾向」が強くあります。そのため中学校の部活動では、顧問先生によって後衛か前衛かを決めて練習することが多いようです。

いかがでしたか?今回は道具やゲーム進行について一部を取り上げてみましたが、もっと細かなルールなど異なる点はいくつもあります。どちらにもそれぞれの戦術があり魅力があります。
日頃テニスをしている方はソフトテニスを、ソフトテニスをしている方はテニスを体験してみると、レベルアップに繋がるかもしれませんね。

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